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平成29年度 主な不動産税制の改正点

平成29年度においても、いろいろな点で不動産税制が改正されました。

1.住宅に、耐久性向上改修工事を行った場合の特例

1)住宅ローン控除

住宅ローン控除は今までにもありましたが、今回、省エネ改修工事と一緒に「一定の耐久性向上のための改修工事」を行ったら、住宅ローンの年末残高に、所定の控除率(1~2%)をかけ算した金額を、所得税から差し引けるようになりました。

控除できる住宅ローンの年末残高は、1,000万円が限度となっています。適用されるのは、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの期間で、最大控除額は625,000円です。

「一定の耐久性向上改修工事」とは、小屋、外壁浴室・軸組等、床下、基礎、地盤の劣化対策工事か給排水管・給湯管に関する維持管理・更新のための工事です。

長期優良住宅の認定基準に適合することが必要で、工事費の合計額は50万円超であることが必要です。また、登録住宅性能評価機関などによる証明書も必要となります。

さらに、適用対象の住宅ローンの借入期間は、5年以上のものです。

省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久向上改修工事を行った場合

■特定の省エネ改修工事+一定の耐久性向上改修工事

(1)居住年 平成29年度4月1日~同33年12月31日まで
(2)借入金限度額 250万円
(3)控除率 2.0%
(4)最大控除額
((2)×(3)×5年)
(5万円+7.5万円)×5年=62万5,000円

■その他

(1)居住年 平成29年度4月1日~同33年12月31日まで
(2)借入金限度額 750万円
(3)控除率 1.0%
(4)最大控除額
((2)×(3)×5年)
(5万円+7.5万円)×5年=62万5,000円

(注1)「一定の耐久性向上改修工事」とは、(1)小屋(2)外壁(3)浴室・軸組等(5)床下(6)基礎(7)地盤に関する劣化対策工事、または(8)給排水管・給湯管に関する維持管理・更新を容易にするための工事をいい、長期優良住宅の認定計画に基づくか認定基準に新たに適合するもので、工事費の合計額(補助金等の額を控除後)は50万円超です。

(注2)住宅ローン(住宅借入金等)は、償還期間5年以上のものです。

(注3)「一定の耐久性向上改修工事」には、登録住宅性能評価機関等が発行する証明書が必要です。

2)所得税額の特別控除(減税)

個人が、自分が居住する住宅について、耐震改修や省エネ改修工事と一定の耐久性向上改修工事をしたら、標準的にかかる工事費用の10%の金額を所得税から控除できるようになりました。
耐震改修と省エネ改修の両方を実施したらより高い控除を受けることができます。控除額は、25万~60万円です。

適用される期間は、住宅ローン控除と同じく平成29年4月1日から平成33年12月31日までです。

耐震改修・省エネ改修工事いずれかと併せて一定の耐久性向上改修工事を行った場合

(1)居住年 平成29年4月1日〜同33年12月31日
(2)標準的な工事費用相当額 250万円 太陽光発電装置を設置の場合⇒350万円
(3)控除率 10%
(4)控除額限度((2)×(3)) 25(35)万円

耐震改修および省エネ改修工事と併せて一定の耐久性向上改修工事を行った場合

(1)居住年 平成29年4月1日〜同33年12月31日
(2)標準的な工事費用相当額 500万円 太陽光発電装置を設置の場合⇒600万円
(3)控除率 10%
(4)控除額限度((2)×(3)) 50(60)万円

2.相続税・贈与税の広大地の評価方法の見直し

広大地では、従来の面積に比例して減額する方法をやめて、各土地の状況に応じて形や面積にもとづいて個別的に評価する方法に変わり、要件が明確になります。
適用されるのは、平成30年1月1日以後の相続からです。

適用期間 平成30年1月1日以後の相続等から

3.登録免許税の軽減延長

登録免許税については、軽減特例が平成31年3月31日まで延長されます。
土地売買の際にかかる所有権移転登記登録免許税の税率は1.5%、土地所有権信託の登記にかかる登録免許税は0.3%となります。

住宅用建物の所有権保存登記にかかる登録免許税の税率は1.5%、所有権移転登記にかかる登録免許税の税率は0.3%、住宅ローン設定の際の抵当権設定登記にかかる登録免許税の税率は0.1%となります。

適用期間 平成31年3月31日まで延長

4.固定資産税の計算方法や減税制度について

1)居住用高層建築物の固定資産税計算方法

居住用高層建築物(高さ60メートルを超える高層マンションなど)に該当する建物については、床面積を「階層別占有床面積補正率」という数値によって補正します。
都市計画税や不動産取得税も同様です。「階層別専有床面積補正率」は、建物の1階を100として、1階上がるごとに10/39を足していきます。
たとえば30階の場合には、100+10/39×29となります。
これは、平成30年度から、新しく課税される居住用超高層建築物に適用される制度です。

2)住宅を耐震改修したときの固定資産税の減税

現在、昭和57年1月1日以前から存在していた住宅に一定の耐震改修工事をして市町村に申告すると、1戸当たり120㎡に相当する分の固定資産税額の半額が、翌年度において減額されるという制度があります。
この制度において、長期優良住宅の認定を受けている場合には、3分の2に減額されることになりました。

3)住宅を省エネ改修したときの減税

現在、平成20年1月1日以前から存在していた住宅に一定の省エネ改修をして市町村に申告すると、1戸当たり120㎡に相当する分の固定資産税の3分の1が、翌年度において減額されるという制度があります。
この制度において、長期優良住宅の認定を受けている場合には、3分の2が減額されるようになりました。

5.土地重課等の適用停止期間の延長

短期所有で土地を譲渡した場合などにおける、土地譲渡に対する事業所得税などの課税特例の適用停止期間を平成32年3月31日まで延長します。
さらに、法人の土地譲渡益への追加課税制度の適用停止と、優良住宅地の造成のための譲渡に関する適用除外も平成32年3月31日まで延長します。

適用期間 平成32年3月31日まで延長

6.特定の事業用資産の買い換え特例等の延長(所得税・法人税)

市街地内から市街地外への買い換え特例が、平成32年12月31日まで延長されます。
また、長期所有の土地や建物等から国内の他の土地や建物等への買いかえに対する特例も、平成32年12月31日まで延長されます。
さらに、優良住宅地の造成目的などで土地等を譲渡した場合に適用される長期譲渡所得の特例も、平成32年12月31日まで延長されます。

(1)既成市街地等の内から外への買いかえ
適用期間 平成32年12月31日まで延長
(2)長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物等への買いかえ
適用期間 平成32年3月31日まで延長
(3)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
適用期間 平成32年12月31日まで延長

 

不動産税金ガイドの内容について
当サイトの内容は、平成29年4月1日現在の法令にもとづいて作成したものです。
年度途中に新税制が成立したり、税制等が変更になったり、通達により詳細が決まったりするケースがありますのでご了承ください。
税金は複雑な問題もありますので、ケースによっては税務署や税理士など専門家にご相談ください。