売却時の税金

ケーススタディ(2)

マイホームを買い換えて、数年後に再度、買い換える場合の譲渡所得税についての特例適用方法について

<質問>
15年前に買ったマイホームを4,000万円で売却して、5,000万円の家を購入する予定です。
売却予定の土地の取得費用は500万円、建物の取得費用(償却後)は100万円、売却費用は100万円になる予定です。
数年後に再度、家を買い換えようと考えています。

この場合、譲渡所得税はいくらになりますか?安くする方法はありますか?

1.居住用不動産の買換え特例を利用すると、今すぐには税金がかかりません

このようなケースでは、「居住用不動産の買換え特例」か、「3,000万円の特別控除」と「低率分離課税」のどちらかを選ぶことができます。
もし買換特例を利用したら、今回の買換えにかかる譲渡所得税は、以下の通りです。
譲渡所得→4,000万円-5,000万円=-1,000万円
そこで、譲渡所得税は0円となります。
(なお、この特例は、所有期間が10年超で、居住期間10年以上、購入物件がについては建物50m²以上、土地500m²以下の場合に適用されます。)

ただし、この特例は、税金が0になる特例ではなく、買換後の資産を売却するときにまとめて課税されます。
次の資産を売却するときの計算の根拠となるもとの資産の取得費用は、今回の購入費用である5,000万円ではなく
500万円+100万円+100万円+(5,000万円-4,000万円)=1,700万円
となります。
このように再度の買換を予定しているケースでは買換特例ではなく「居住用資産の3,000万円控除」を選んだ方が得になる可能性があります。

以下で、比較してみましょう。

2.居住用資産の買換え特例を適用した場合

譲渡所得課税対象所得=4,000万円-5,000万円=0
譲渡所得税はかかりません。
その後、5年を超えて10年以内に6,000万円で売却して、買い換えたとします。
譲渡所得6,000万円-(1,700万円-100万円)-3,000万円=1,400万円
所得税は、1,200万円×15.315%=2,144,100円
住民税は1,200万円×5%=60万円
譲渡税合計は、2,741,000円となります。

3.居住用資産の3,000万円控除と低率分離課税を適用した場合

譲渡所得4,000万円-(600万円-100万円)-3,000万円=500万円
所得税500万円×10.21%=510,500円
住民税500万円×4%=20万円
譲渡税合計は、710,500円となります。

以上のように、このケースでは、居住用資産の3,000万円控除と低率分離課税を適用した方が、税金合計額が安くなります。

 

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