相続財産の評価方法
1.相続税計算には、相続財産の評価が必要
相続税の計算をするときには、相続財産を評価する必要があります。
たとえば、土地や家屋、貴金属や骨とう品などについては、評価をしないと価値が明らかになりません。
相続税を計算するときの相続財産の評価は、基本的に相続開始日の時価を基準とします。
具体的には、国税庁が公表している「財産評価基本通達」によって評価します。
相続財産評価の際に、わからないことがあったら、税務署に問い合わせると良いでしょう。
2.主な財産の評価方法
財産 | 評価方法 |
宅地 | 路線価方式または倍率方式(時価の8割程度) |
家屋 | 固定資産税評価額(時価の7割程度) |
預貯金 | 元本と解約利子 |
上場株式 | 以下の最も低い額 ■被相続人の死亡日の終値 ■被相続人の死亡月の終値の月平均額 ■被相続人の死亡前月の終値の月平均額 ■被相続人の死亡前々月の終値の月平均額 |
利付公社債 | 以下の低い方の額 ■発行価格と既経過利息の手取額の合計 ■上場相場または気配相場と既経過利息の手取額の合計 |
割引公社債 | 以下の低い方の額 ■発行価格と既経過償還差益の合計 ■場相場または気配相場 |
貸付信託 | 元本+既経過収益の手取金額-買取割引料 |
証券投資信託 | 新聞等による基準価格 |
ゴルフ会員権 | 取引価格の7割 |
宝石・貴金属 | 購入金額 |
借入金 | 返済すべき金額 |
3.不動産の評価方法
1)土地の評価方法(路線価方式と評価倍率方式)
土地の評価方法には、路線価方式と評価倍率方式があります。
路線価方式 | 路線価の設定されている場所(市街地的な場所)では、路線価によって評価します。 |
1㎡あたりの路線価※毎年改定 × 画地調整率 × 土地面積 = 土地の評価額 |
評価倍率方式 | 路線価の設定がない場所では、評価倍率方式を使います。 |
固定資産税評価額※原則として3年に1回改定 × 評価倍率※毎年改定 = 土地の評価額 |
おおよその目安は、公示価格の80%くらい![]() 「公示価格」とは国土交通省が公表する毎年1月1日現在の適正な土地価格をいいます。 |
路線価や評価倍率による計算結果は、公示地価のおおむね80%程度となります。 また、マンションのように、敷地が共有の場合には、敷地全体の評価額に共有持分をかけ算して、評価額を計算します。 |
「相続税路線価」とは、市街地を対象に各国税局長が相続税・贈与税の計算のために算定された土地の価格です。![]() 相続財産が、マンションのように、その敷地が共有になっている場合は、次の通りに評価額を計算いたします。 |
敷地全体の評価額 × 共有持分の割合 = 評価額 (路線価方式または倍率方式で計算) |
ただし、以下の土地は、特別の時間を要します。 ■奥行きが長い ■間口が狭い土地 ■角地・準角地 ■不整形地 ■二方道路、三方道路、四方道路 ■無道路地、崖地 ■袋地等 |
2)小規模宅地の特例
事業用や居住用の200m²(400m²または330m²のケースもあります)までの土地を相続・遺贈によって取得した場合、相続税評価額が下がります。
この特例は、生前贈与のケースでは適用されません。
特例を適用すべき土地については、すべての相続地の中から任意に200m²(400m²または330m²)を選び出すことができます。
1.特定事業用宅地等 | → | 評価額の 20% (80%減税) |
2.特定居住用宅地等 | → | |
3.特定の同族会社の事業用宅地等 | → | |
4.不動産貸付等の様に供されていた宅地等 | → | 評価額の50%(50%減額) |
3)家屋(建物)の評価方法
家屋の評価額=家屋の固定資産税評価額
家屋の固定資産税評価 × 1.0 = 評価額 |
ただし、不動産を賃貸していると、評価額が下がります。
貸地の場合 | 貸地の評価額=通常の相続税評価額×(1-借地権割合) 借地権割合は、場所によって、30~90%となります。 |
貸家の場合 | 貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合) 貸家の敷地の評価額=通常の相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
4)借地権の評価方法
借地権も、相続の対象です。
借地権の評価額 = 底地の相続税評価額 × 借地権割合 |
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