相続税対策

債務を負担して相続税を節税する方法

1. 債務を負担すると課税対象額が減る

相続税を節税する方法にはいくつかありますが、債務が遺産から控除されることを利用して節税する方法があります。
たとえば、ローンを組んで賃貸アパートを購入したり建築したりして、賃貸物件を運用すると、ローン分を相続税評価額から差し引くことができます。

以下で、具体例をもとに検討しましょう。

2.具体例

たとえば、相続財産が3億円あり、妻と子ども2人が相続するとします。
このとき、何もしなければ、相続税は2,860万円ほどかかってしまいます。

そこで、3億円を投入して、土地(2000m)を購入します。
そして、2億円のローンを組んで賃貸アパート(2億円の価値)を建築します。
土地の相続税評価額は2億4千万円です。

このとき、遺産の評価額は、以下の通りとなります。

■土地の評価額

まず、賃貸に出すので、借地権割合と借家権割合を減額します。

2億4千万円×(1-0.3×0.7) =1億8,960万円

さらに、小規模宅地の特例によって減額します。
 
小規模宅地によって減額される分

1億8,960万円×200-2000×2分の1=948万円

以上より、土地の評価額

1億8,960万円-948万円=1億8,012万円
■建物の評価額

建物については、借家権割合を引くので、以下の通りです。

2億円×0.7×(1-0.3)=9,800万円

よって、遺産総額が1億8,012万円+9,800万円=2億7,812万円となります。
ここからローンである2億円を差し引くことができるので、遺産の総額は7,812万円のみとなります。
ここから基礎控除額の4,800万円を差し引くと、課税対象額は3,012万円です。

すると、かかる相続税額は、

175万9,000円(妻の分)+75万3千円×2(子供達の分)=326万5,000円となります。

現金資産をそのままもっていたら2,860万円かかるので、2,533万5,000円も節税できることになります。

 

不動産税金ガイドの内容について
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